2017-08-01

西安のローカルフードを食べてきた⑧ 家庭料理

最後に、西安の家庭料理を少しご紹介します。

 

槐花麦饭 Huái huā mài fàn


これは、マメ科の植物である槐(エンジュ)の花を集め、小麦粉をまぶして蒸し、味付けしたものです。日本ではまず聞いたことのない調理法の、華やかで贅沢な一品です。

そこそこの量の花がいりそうですが、道に生えている木から採ったり、路上で売られている袋詰めを買ったりして調達します。

味付けは唐辛子などのスパイスを効かせて。おかずとして、主食の馒头(Mántou)と一緒に食べます。

食感は柔らかく、香辛料の香りの中に、確かに槐の香り。

槐の木です。かなり背が高くなります。白いものが花。葉っぱがマメ科の形をしています。

もちろん実もなります。立派なサヤです。

食べれない種類の槐もあるそうなので、注意が必要です。

 

馒头 Mántou


西安人の主食の一つで、日本人の白いご飯的存在です。馒头は、日本の漢字にすると饅頭ですが、アンコは入っていません(入っていたら包子)。

小麦粉という一つの材料で、様々な形にする技術を持つのが西安人のすごいところ。家庭で食べられている主食をいくつか説明してみようと思います。

まず、小麦粉に水、イースト、塩を混ぜて発酵させ、成形して蒸したものが馒头。

馒头と同じ生地に、肉や野菜の餡を入れて蒸したものが包子(肉まん)。甘い餡もあります。

馒头と同じ生地を、鉄板で平らに焼いたものが饼。

イーストを入れず、小麦粉と水、塩を練って薄く伸ばしたものが、餃子やワンタンの皮。三角形や、細長く切って麺にすることもあります。イタリアのように生地を小さくちぎって、パスタのようにすることも。

発酵させない生地を、油でコーティングして休ませてから、手で伸ばす麺もあります。

小麦粉と水の割合の違いや、油などを混ぜて生地を作ることもありますが、だいたいこんな感じと理解しています。しかもこれで全てではないことが、すごい。

 

日本でパンをパン屋さんに行って買うように、饼を饼屋さんで買うこともします。

こんな巨大な饼もあります。リュックに入れるとリュックが縦に変形する大きさです。

家で饼を作るときはドライイーストを使うことが多いですが、老舗の饼屋さんは、生地を継ぎ足しで作っている(発酵させた生地を残しておき、次の生地に練りこんで使う)ので、その土地独自のイースト菌の香りを楽しむことができます。よく見るパンの断面は、ランダムに発泡したような見た目ですが、ここの饼の断面は、なぜか層状になっています。練り方もあるとは思いますが、不思議です。

香りもドライイーストを使うといつも食べる“パン”に近い香りと食感になりますが、この饼はもっと素朴で小麦粉そのものの香りがし、生地自体の歯ごたえはありますが、なぜか口どけか軽く感じました。

 

花巻 Huājuàn


これは、馒头と同じ蒸したパンですが、花巻という可愛い名前です。生地を伸ばして油を塗ってくるくる巻いてうまく成形しないといけないので大変ですが、あると食卓が華やかになります。

これは、生地を伸ばして油を塗る工程で、香辛料やゴマなどで味付けしたタイプです。

こんな形です。おもしろい。

おかずの横に置いてあります。好きなものを選ぶ。

 

鶏肉の香辛料煮


食卓は野菜、穀物が中心ですが、もちろんお肉も。お決まりの香辛料で味付けしてあり、チャーシューの鳥バージョンといった風味です。

 

豚肉と豆腐ときくらげの炒め物


豚に美味しい味付けがしてあったのですが、どういう調理がされているのか、わかりませんでした。

中国の家庭では、取り皿はとくに用意せず、一品につき一皿に入ったおかずをみんなで囲んで食べます。汁垂れちゃう、という心配は、馒头や饼が受け止めてくれます。馒头にこういう美味しい汁を吸わせつつ食べると、ついつい食べ過ぎてしまいます。焼肉を白米にワンバウンドさせる感覚です。

 

莴苣 Wōjùの和え物


乾陵周辺で食べたレタスの仲間の莴苣の和え物です。シンプルに莴苣のみ。麻辣酸の味でさっぱりいただきます。つけもの感覚で、肉料理と馒头がますますすすみます。

 

とうもろこしのお粥


一見コーンスープのようで具がないように見えますが、お椀の底にとうもろこしを砕いたものが沈んでいます。この砕いたとうもろこしの食感が、すこしムチっとしていてあとをひきます。

日本ではお粥は主食として食べますが、中国では肉まんにおかず、そしてお粥といった取り合わせで、スープとして食べることも多くあります。おかずは香辛料が効いているものが多いですが、お粥は特に味付けせず、素材の味そのままでも食べます。砂糖を入れることもあります。

滞在中、シンプルな穀物のお粥で、しょっぱいタイプのものとは出会いませんでした。海鮮粥などはしょっぱいと思います。揚げパンを浸して食べたりするので、その場合はどちらかというとおかずになるのでしょうか。謎です。

お粥は、あらゆる穀物で作られます。とうもろこしのほか、緑豆や小豆、黒米、ひよこ豆、キビ、アワなど様々な穀物に、ナツメなども入れることがあります。一つの種類でも作りますし、複数の種類を混ぜて作ることもします。味付けする時は主に氷砂糖で。緑豆や小豆、黒米などが入っていると、ぜんざいに似た味になるので、日本人にとっても食べやすいお粥になります。

①でご紹介した酒酿蛋花汤も、スープとしていただきます。元気の出る味。

 

いかがでしたでしょうか。

このほかにも、カエルや大きい鮒のような鯉のような魚なども食べたのですが、写真が残っているものだけのご紹介でした。何か一つでもみなさまの記憶に残って、西安に行った時の食のヒントになれば嬉しいです。

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